出張手術の症例です
15才8ヶ月の猫ちゃん、尿管閉塞による急性腎障害(AKI)
右腎は萎縮しており(既に機能していない)、左腎が腫大し、腎盂が拡張しています。左腎近傍の尿管には結石が認められました
おそらく過去に尿管閉塞が生じたが、誰も気づかず、閉塞が解除されないため右腎は機能を失う
その後は左腎のみで頑張っていたが、そちらで尿管閉塞が起こってしまった、というストーリーが考えられます
腎臓は予備能が高い臓器です。尿管閉塞により片腎が機能を失っても、もう一方が正常なら無症状なことがあります。残り一個の腎臓が機能を失ってしまうと、AKIとしての症状が出てきます
治療には外科的矯正が必要となりますが、いずれも腎盂内の尿を膀胱に排泄させる手技となります。尿管切開、尿管膀胱新吻合、あるいは皮下尿管バイパス術(SUB)などです。今回、非常に高齢であることや全身状態を鑑みて、手技が短時間で終了するSUBシステム設置を選択しました
閉塞していた側の腎臓は腎盂腎炎を併発しており、術後低血圧に陥ったりと紆余曲折ありましたが、積極的な支持療法により快方へと向かい、1週間ほどで退院となりました。高齢なおばあちゃん猫さん、頑張りました!