症例#5 脊髄軟化症(椎間板ヘルニア)

8才7ヶ月齢ミニチュアダックスフンド グレード5のT12-13椎間板ヘルニアです。病変部からT8までの脊髄はT2強調で高信号を呈しており、画像上、脊髄軟化症が強く疑われました。即日手術となり片側椎弓切除を実施したところ、硬膜には発赤が認められました。硬膜切開を実施したところ脊髄は軟化しており、後に病理組織検査で脊髄軟化症と診断されました

従来、脊髄軟化症は進行性であり、3-10日ほどの経過で100%死亡するとされていますが、近年、拡大的な減圧術を行うことにより救命可能となった症例が少しずつ蓄積されております。本症例においても拡大的椎弓切除+硬膜切開を行いました。T7よりも頭側の脊髄は肉眼的に正常な脊髄でした

術後、軟化症の進行を示唆する徴候は認められず、1週間後に無事退院しました。その後も神経機能の回復は認められないものの軟化症は進行しておらず、この子は依然として生存しております。長年、進行性脊髄軟化症は短期間の経過で死亡することが避けられないというのが我々の共通の認識でした。後肢機能の回復に関しては難しいことに変わりはありませんが、生存に関しては少し希望が見えてきたのかもしれません!