犬と猫の歯科ケア:歯周病予防と歯磨きのポイント

ペットの歯科ケアは、犬や猫の健康を守るために非常に重要な要素です。私たちが毎日行う歯磨きと同じように、ペットにも歯を大切に保つ習慣が必要です。歯周病を予防するためには歯磨きの習慣を身につけ、定期的なチェックとケアを行うことが求められます。しかし、ペットは自分で歯を磨けないため、飼い主のサポートが欠かせません。この記事では、犬と猫の歯科ケアの重要性、歯周病予防、歯磨きの方法について詳しく解説します。

1. 犬と猫における歯周病のリスク
歯周病は、犬や猫の口内で最も一般的な病気のひとつです。歯周病は、歯垢(プラーク)が蓄積し、それが硬くなって歯石になり、最終的に歯茎に炎症を引き起こす疾患です。初期の歯周病は、口臭や軽い歯茎の赤み、腫れが見られますが、進行すると歯茎が後退し、歯が抜けることもあります。
犬や猫が歯周病を放置すると、口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも影響を与える可能性があります。歯周病が進行すると、細菌が血流に入り込み、心臓や腎臓などの内臓に感染を広げることもあります。特に高齢のペットでは、歯周病が体調不良の原因となることがあるため、早期の予防と治療が重要です。

2. 歯周病予防のための基本的なケア
歯周病を予防するためには、日常的な歯科ケアが不可欠です。具体的なケア方法としては、以下のポイントが挙げられます。

2-1. 歯磨き
犬や猫に歯磨きを習慣化させることが、歯周病予防に最も効果的な方法です。歯磨きによって、歯垢の蓄積を防ぎ、歯石の形成を遅らせることができます。歯磨きをする際は、少しずつ慣らしていくことが大切です。
犬の場合
歯ブラシは、犬の口に合ったサイズのものを選び、歯磨きジェルは犬用に特化したものを使用してください。犬用の歯磨きジェルにはフレーバーがついています、爽やかな香がするものや、犬が好む味や香の物もあり好みで選ぶ事ができます。最初は口周りを触ることから始めます。慣れてきたら、指で歯茎や歯の周りを軽くマッサージなどをします。その後、歯ブラシを口の中に入れる練習をして、それに慣れてから、丁寧に磨くことを目指します。
猫の場合
猫の場合も同様に少しずつ慣れさせることが大切です。犬よりも歯磨きに抵抗を示すことが多いですが、無理強いはせずに、初めは指で口周りを触ることから始めると良いでしょう。慣れてきたら、歯や歯茎周りを指でふれ、拭き掃除などに挑戦してください。最終的には歯ブラシを使用しブラッシングできることを目標にします。猫は歯磨きを嫌がることが多いので、少しずつ回数を増やしご褒美を与えたりしながら、楽しい時間として認識させるようにしましょう。

2-2. 歯科専門のフードやおやつ
歯磨きが難しい場合や、歯磨きが習慣になっていない場合には、歯科に配慮したフードやおやつを取り入れることも有効です。特に、歯周病予防に特化したドライフードやおやつは、歯石が付着しにくくなる成分が含まれているものや、噛むことで歯垢や歯石の付着を予防することができるものがあります。
歯に配慮した用フード
歯科用フードは、ペットの歯に優しい設計がされています。特に、硬めのドライフードは噛むことで歯に付着したプラークを減らす効果があります。 
   ヒルズ t/d マルチケアデンタル ロイヤルカナン エイジング など
歯科用おやつ
歯科用おやつは、ペットが楽しく噛むことで、歯垢を取る効果があります。犬用や猫用の歯磨きおやつには、歯の健康をサポートする成分が含まれているものも多いので、興味があれば試してください。
   グリニーズ ビルバックチュウ など
2-3. 歯周炎ケアサプリメント
歯磨きやフードと併用して、サプリメントの利用も効果的です。口腔内に善玉菌を増やし歯周炎菌を減らすことで、口臭軽減と歯周炎進行を防ぐもの。歯肉に塗布することで、炎症を鎮静化させるものなどあります。口腔内の状態によりお勧めできるものがあるので相談してください。
  デンタルバイオ  1-TDC(ワンティーディーシー)

3. 定期的な獣医師のチェック
定期的に獣医師にペットの口腔内をチェックしてもらうことも大切です。歯石が溜まっている場合や、歯茎に炎症が見られる場合、早期に対応することができます。また、動物病院での歯石除去治療を定期的に実施することで、動物の寿命を伸ばす可能性が示唆されています。歯周病が進行する前に、定期的にチェックを受けることが予防に繋がります。

4. 歯磨きのポイントとコツ
歯磨きを続けるためのコツとしては、以下の点を意識すると良いでしょう。
楽しさを取り入れる
歯磨きはペットにとっては少し退屈な時間になりがちですが、おやつを使って「ご褒美タイム」にすることで、楽しさを取り入れることができます。ポジティブな時間として歯磨きをすることで、ペットも歯磨きが嫌いではなくなります。
毎日のケアを習慣にする
歯磨きを毎日のルーチンにすることで、習慣化できます。毎日少しずつでも歯磨きを続けることが、歯周病の予防に大きな効果を持ちます。お散歩から帰ってきたら、人は「手洗いと、うがい」ペットは「足裏洗いと、歯磨き」の様にルールを決めていただくと良いかもしれません。
少しずつ慣れさせる
初めから完璧に歯磨きをするのは難しいかもしれませんが、少しずつ慣れていくことが大切です。飼い主主導で無理せずに、ペットのペースに合わせて進めていきましょう。

5. まとめ
犬や猫の歯科ケアは、歯周病を予防し、健康な口腔環境を維持するために欠かせません。歯磨きの習慣を取り入れ、歯石を防ぐために適切なケアを行いましょう。日々の歯磨きや歯科用フード、おやつを使いながら、ペットの口腔健康をサポートしていくことが大切です。また、定期的に獣医師によるチェックを受けることで、早期に問題を発見し対応することができます。早期であれば、歯磨き以外にも、有効な歯周炎ケアができるお薬やサプリメントなどをお勧めする事ができます。愛犬・愛猫の健やかな生活を支えるために、歯科ケアをしっかりと行いましょう。