ペットの寄生虫予防でヒトの健康を守る!ノミ・マダニ対策を徹底解説

真夏の厳しい暑さがやわらぎ、秋はお出かけに最適な季節ですね。
ペットと一緒に旅行やアウトドアを楽しむ方も多いのではないでしょうか。
私の長野の実家の犬は、毎年秋になると山へキノコ狩りに連れていかれますが、
キノコを見つける仕事はせず、マイペースに散歩を楽しんでいるようです。

しかし、お出かけの前には寄生虫予防を忘れずに!
ペットの健康を守ることは、ヒトの病気を防ぐためにも重要です。
この記事では、ペットの寄生虫が引き起こすヒトの感染症について詳しく解説します。

1. マダニ:身近な危険とSFTSの脅威

マダニは春から秋にかけて活発に活動し、野山だけでなく都会の公園や住宅地にも生息しています。
吸血による貧血やアレルギー性皮膚炎だけでなく、感染症を媒介する点が特に危険です。

1.1 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

SFTSは、マダニが保有するウイルスによる感染症です。感染経路は以下の通りです:

  • マダニによる吸血
  • 感染動物の体液や排泄物との接触
  • 咬傷

2025年8月末時点で、全国のSFTS感染者数は149人と過去最多を記録。
従来は関西地方が主な発生地域でしたが、2025年5月には茨城県の猫で関東初の感染が確認され、
ニュースでも話題になりました。

症状とリスク

  • ヒト:発熱、黄疸、消化器症状。死亡率は約30%
  • 動物:猫の死亡率は約60%、犬は約40%。猫の方が重症化しやすい傾向があります。

1.2 日本紅斑熱

マダニが媒介するリケッチア(細胞内で増殖する細菌)による感染症です。

  • 動物:症状はほとんど出ません。
  • ヒト:発熱、発疹、頭痛などが現れます。
  • 発生地域:西日本中心ですが、東京を含む全国で報告されています。

対策:マダニ予防薬の使用と、野外活動後のペットの体チェックが重要です。

2. ノミ:家の中でも油断できない

ノミは地域猫や野生動物の生活環境を通じて感染しますが、
人間の衣服に付着して室内に持ち込まれるケースも少なくありません。
室内飼いのペットでも注意が必要です。

13℃以上の環境で生きられるため、一年中警戒が求められます。

2.1 ノミアレルギー性皮膚炎

ノミに刺されると強いかゆみを引き起こし、1カ所の刺咬でも全身に皮膚炎が広がる場合があります。
少数のノミでも大きな影響を与えるため、早期の予防が重要です。

2.2 猫ひっかき病

ノミが媒介する代表的な感染症で、日本では飼育猫の6.5%が原因菌を保有しています。

  • 感染経路:猫同士のケンカやネコノミを介した感染。
         ヒトは保菌猫にひっかかれたり噛まれたりすることで感染。
  • ヒトの症状:リンパ節炎、発熱、悪寒など。
  • 予防法:定期的な爪切りや傷の消毒で感染リスクを軽減。

3. その他の寄生虫:疥癬(ヒゼンダニ)

疥癬は皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生し、強いかゆみを引き起こします。

  • 感染経路:主に感染動物との直接接触。
  • 特徴:宿主特異性が高く、犬や猫のヒゼンダニはそれぞれの動物に特化していますが、
    濃厚接触によりヒトに一時的に寄生する場合も。
  • ヒトへの影響:繰り返し寄生することでアレルギー性皮膚炎が持続する可能性。

4. 室内飼いのペットにも予防が必要?

「室内飼いの猫にノミ・マダニ予防は必要?」という質問をよく受けます。
 答えは「必要」です。以下はその理由です:

  • ノミ:人間の衣服を介して室内に侵入。1カ所の刺咬で広範囲の皮膚炎を引き起こすことも。
  • マダニ:室内飼いの猫でも逃げ出した際に寄生するリスクが。
    2025年の茨城県のSFTS症例では、室内飼いの猫がマダニに寄生され、
    2週間後に発症し亡くなる悲しいケースが報告されています。

5. 予防のポイントとおすすめ

オハナ動物病院では、以下の予防をおすすめしています:

  • ノミ・マダニ予防:4月から12月までの予防を推奨。温暖な室内では通年予防も効果的。
  • 予防薬の種類
    • 背中に垂らすスポットオンタイプ
    • 食べるタイプ
  • 相談:ペットのライフスタイルに合った予防薬を選ぶため、獣医師に相談を。

まとめ:ペットの予防でヒトも守る

ペットとの楽しいお出かけを安心して楽しむために、ノミ・マダニ予防は欠かせません。
室内飼いのペットでも寄生虫のリスクはゼロではありません。
ペットの健康を守ることが、ヒトの健康を守ることにつながります。
定期的な予防と獣医師への相談で、ペットも飼い主も安心な生活を送りましょう!